じゃすてぃすはーと

街灯の暗い一本道。

暗闇。

そんな道を俺は一人走っていた……。
うる覚えの道をただひたすらに。

暑さと不安と恐怖で必要以上に汗が噴出し止らない……。

(本当にこの道であっているのか？)

そう、何度も自問自答した……。
でも、明確な答えは返ってこない。

自分の軽率さを呪いながらも、ここまできた以上は引き返
せない。何が起ころうとも、それは自分が蒔(ま)いた種。
今は進むしかない。
・
・
・
(どのくらい時間が経っただろう？)
月明かりを頼りに、時間を確かめた。
(……2時か)
かれこれ1時間ちかく走り続けた事になる。それでも、依然として回り
は闇のまま。発狂したくなる自分を抑える為、一旦速度を緩めタバコ
をくわえた。んが、ライターが見つからない。
(クソッ！)
火のついていないタバコをくわえながら、また走り出す。
唾と汗でフィルターは直ぐにべとべとになった……。

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時間を戻します。
当初の予定では、23時あたりに電車でホテルへ変える予定でしたが、
「今日はうちに泊まっていけ？」とアーピン氏が申し出てくれたので
、「了解」と二つ返事で了承した。

(まぁ、明日の出勤は彼ら(現場作業者)と一緒に行けばいい
ことだし。吉彦氏(会社の先輩)には、明日の7:00あたりに
電話で伝えれば問題ないでしょ)

と、自分で方向性を決め、『本日はオールナイト！』と接待でつれて
きてもらったテーワンカラオケのお姉ちゃん達に、意気揚々と宣言し
ていました……。

深夜0:00頃アーピン氏が
「ブライトさん、そろそろ帰りましょう」
と終了を告げてくれる。通常よりもアルコールを取り入れ
てしまっ為、おぼつかない足取りでカラオケを出てアーピ
ン氏の車に乗車。


「そうそう、今日は風呂どうする？　必要な洗面用具は買
っておいたほうがいいよ」

『う〜ん、風呂はパスする。でも、歯ブラシとタオルは買
っておきたい』

「OK。んじゃコンビニよってこう」
・
・
・
その後、セブンイレブンで洗面用具類を購入し、本日の宿(アーピン邸
)へ向けて再度車は出発した。
コンビニを出てから5分もすると回りは畑だらけになり、そして、さら
に20分ほど坂道を上ったり下ったりを数回繰り返し宿へ到着！

やはり、台湾といっても、家のつくりは大陸に似ていた。
アパートを予想していたのだが、平屋の“コの字型”で、床はコンク
リートむき出し。

(台湾の物価は日本に近い部分があると聞いていたけど、で
も一般的な台湾人はまだこういう家に住んでいるのか)

と、所々朽ち果て薄汚れている家内を見回しながら、何故かしんみり
している自分がいた。

『ところで、家族の人に挨拶とかしなくていいの？』
「もう寝ている時間だからいらない。明日は6時半起床で大
　丈夫か？」

『そだね、よろしく』
「んじゃ、おやすみ」
『はい、おやすみ』
(バタンッ)

アーピン氏の弟が使っていた部屋を借り、長かった一日が終了！
“緊張と疲れ”、そして普段よりも多くのアルコールを摂取したため
か眠気は直に襲って……こねぇー！！　
ちっとも眠れない！！　やけに意識がハッキリしている……。
暗い天井を眺めながら、今日の出来事を回想し、眠気が来るのを待つ
事にした。

・現場の若い兄ちゃん達に誘われる。
・定時後アーピン氏の車にのって、台湾独特のビンゴ喫茶(賭博)へ連
　れてかれる。
・カラオケで接待を受ける。
・お姉ちゃんとチンチロ(？)風のサイコロ勝負に勝利して、裸体を拝
　む。
・ファイナル決戦で勝利し、ばかばかまんこへ氷を奉納させてもらう。
・玉氏より「今日は客人だが、俺らが日本へ行ったときは……」と、
　ギブアンドテイクの怖さを知る。

そして、現在……『ほぼ初対面のアーピン氏の家で寝ている俺がいる！』


（´-`）.｡oO
　何だかなぁ……。
　そう言えば、北京にいた頃も似た様な事あったよな。
　中国人の高校クラス会によばれて、部外者の俺が何故か混
　じっているという光景が。
　んで、最終的には初対面の人の家に泊めてもらったんだっ
　け。台湾でも同じ事しているよな俺って。
　結局、留学と出張の違いだけか？　
　何もかわらんわな、あははは……！？)


(ガバッ)と起き上がる！

ん！？
“留学”と“出張”の違いだけだってか？
全然、違うじゃねーかよ！！

今回は仕事！　前回は遊び！　ちっとも同じじゃねーじゃん。
だんだん、自分の適当さ加減に嫌気が差してきた。
一応、明日の朝集合前に電話一本を入れれば問題は無い、と思う。
「ちょっと、今日は作業者の方達と出勤します」って
(※普段はホテルから日本人が揃ってタクシー通勤している為)

でも、これは俺個人が問題は無いと思っているだけで、他人(他の日本
人が)がどう思うかは分からない。

「個人行動が目立ちするぎる」との意見も出てくるだろう。
「ちょっと、言葉ができるからって、調子には乗っていないか？」
そう思う人だっているはず。
「万が一、問題が起きた場合は誰の責任？」
そういえば、今日の現場作業者の人たちと一緒に遊びに行きます　っ
てリーダーさん(50代初老)に伝えた時
「羽目をはずしすぎて、警察のお世話になるなよ！」
と、釘を刺されたし。

……ちょっと考え始めると、無性に心配になって来た。
(ホテル……帰るか？)

時計を見ると既に0:45分。
アーピン氏と分かれたのが0時ちょうど。
(もう寝ているかな？)
とりあえず、彼の携帯へTELしてみる……出ない。
(えっと、確かここからホテルまでタクシーで1000NTD前後だっけ？　
4000円か……)

ここで選択し登場
?最低限の信頼というか、“ブライト”という会社で作り
上げてきた良い(？)イメージを今後を保つ為に、1000NTDを
使ってホテルへ帰る。


?もったいない。
来週のお買い物の為にとって置く。
明日電話を入れておけば問題ない。


う〜ん、どうしたもんかな……。
念の為、再度アーピン氏の携帯へTEL。
タクシーの呼び方を知らない俺なので。
・
・
・
やっぱり出ない。
(くそぉ！　本格的に帰りたくなってきたぞぉ！！)

暗い部屋の中では考えが纏らないので、部屋の明かりをつける事にし
た。
(パチンッ！)

カサカサカサカサッ……。

なにやら、巨大な物体が部屋を縦断した。
(ん？　ゴキブリ？　やっぱり、南国だとでかいな。
さーて、どうするかなぁ。
3回目のTELトライするか？
でも、気づいてくれるかなぁ……えっ！？　

ストップ、ストッープ！！　
ちょーっと、タンマ！！
今の……ゴキブリやばくないですか？　
でかすぎませんか？)

ゾワゾワゾワ……鳥肌が立ってきた。
北京のゴキブリは１?前後だったので、１匹2匹は屁でもない。
でも、先ほどのは俺の知っているゴキブリではない。
７〜８倍はあったぞ！！

『え〜い、こんな所で絶対に寝てやらないんだからね！！
　もぉー帰る！！』
　
と、まれに見る巨大なゴキブリを目の当たりにし、俺“ハイパーツンデレ化！”する。
一応、一言のメモだけ残し、荷物を纏めてアーピン邸を後にした……。

夜道を疾走する俺。
まるでサーバント：セイバーさんの様だ！

ちなみに、
セイバー：サーバント中最強の英霊
ブライト：中国語がちょっと喋れる。

宝具
セイバー：エクスカリバー
ブライト：デジカメ330万画素(オリンパス製)。んで、電池切れ。


アーピン氏の言葉
「ここから辺は台湾の中でも結構治安が悪いからね。
　ブライトさんも、夜道というか、夜は出歩かないほうがいいよ♪」
　
　
うむ、納得！
周りは畑だらけ、いわゆる田舎だ。
台湾も、大陸と変わらず田舎が危険なんですね☆

さーて、脳内アドレナリンがビシビシ分泌されてきました！！
嫌〜な汗とともにね。

いっちょ、後半戦……いってみようか！
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